ついに「華氏911」を見る
ついに「華氏911」を見た。
予想通りというよりは予想以上の衝撃だった。
映画の最後で、イラクで息子をなくした母親がホワイトハウスの前でつぶやいた言葉が今も耳について離れない。
「なんて私たちは無知なのか」
私たちはあまりにも多くことのことをしらなすぎる、多くのことを奇麗ごとにしすぎる。
同行した友人は「作り方が汚い。あまりにも政治的に偏った主張を論拠もなく見せているだけで、腹が立つ」という。そのときはすぐに反論できなかったが、「汚い」のはマイケル・ムーア(MM)の映画の作り方ではなく、勇敢にも彼が扱っている素材そのもの、「汚い」というよりは、とても手を触れることのできないおぞましい素材、つまりブッシュとその取り巻きたちの、そして勝者を気取ってアメリカに何らかの形で手を貸す私たちの行いそのものだ。
「汚いもの」を「汚いもの」として見せるのが真のドキュメンタリーであり、その意味で「華氏911」は十分にその資格がある。見終わって血が逆流する思いがしたが、この映画のすごさは、MMの出すメッセージに賛同する人間に対してすら「この映画が描くことを信じてはならない」というメッセージを送ってくることだと思う。
そう、安全地帯にいる私たちは、本来この映画が描こうとする現実を理解できるような立場にはいないのだ。なんといえばよいのか言葉に困るのだが、MMに熱狂的な支持を送る私も実は何もわかってはいなかったのだと、思い知らされたと言うべきなのだろうか。それとも安全地帯にいるはずの私を無理やりに「これを見よ」と引きずり出すパワーに翻弄されるままである、その自分自身に対する苛立ちなのではないか。
(続きはあるのか?)
11:57 PM in 映画・テレビ | Permalink
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Comments
戦争の悲惨さは十分に伝わりました。そして、自分自身が無知無力であることも感じました。その意味においてムーアの意図は明快であるし、映画は絶賛に値すると思います。しかし、僕には別の側面があるような気がします。それは報道もしくはメディアの倫理という微妙な問題と絡んでしまうのですが、(yahooなどのコメントにも見られるように)根拠なく陰に示されたものも真実と思ってしまう危険性です。(ある種の扇動とすら思います。)この映画をもし報道とするなら、ムーアは語りすぎと思います。つまり、これは報道ではなくムーアの主張を語るエッセイ映画であるとすれば絶賛されるべきだと思うのです。このような事にこだわるのはジョークの解らない日本人だからかもしれませんが、この区別は判断を他人に委ねてはならないという意味において重要です。
彼の主張を鵜呑みにしてはいけないけれど、彼の映した情報をもとに自分の主張を構築することが大切です。
この区別をした上で、悲惨な映像に泣いたり、ムーアのジョークに笑ったりして欲しいと思います。あと日本の報道がムーアを真似て語り過ぎないよう願っています。
長くなりましたが、以上のように思って「作りが汚い」とcomet氏にコメントいたしました。
Posted by: その同行した友人(土管) | Aug 20, 2004 9:20:37 PM