◎ジャズリスナーの「一里塚」
◎ジャズリスナーの「一里塚」
ジャズが「おじさんの音楽」あるいは「大人の音楽」である理由は、ジャズという音楽が聴けば聴くほど「アンビバレント」を体験する音楽だと言うことだろう。
個々のジャズマンへの好悪は当然だし、同じジャズマンの演奏にも好き嫌いがあるのは当たり前だ。また何度聴いても自分の中には入ってきそうにない曲や演奏、ジャズマンがいるのも確かだ。しかし、ジャズそのものを愛せるかどうかは、そうした好悪や自分のわかる、わからないの感覚を越えた部分を感じられるか、ということだと思う。
例えば、ノラ・ジョーンズはこの本を読むまでは自分には無縁の人だと思っていたが、同業者たるジャズシンガーが以下のように発言するのを耳にすれば俄然聴いてみたくなる。
「何ていえばいいかな。激しく揺さぶられることはないけれど、じわーっと心に染み込んでくるような歌だ。バックも大げさなことはまったくやっていない。それでいていつまでも心に残る。
・・・こんな表現ができたらいいとぼくも思うよ。でも、これはやろうと思ってもできることじゃない。」
(ノラ・ジョーンズのアルバム『ノラ・ジョーンズ』に対するピーター・シンコッティのコメントから)
このようにジャズの新しい側面を見つけるもよし、「名盤」をジャズマンの視点で見直すもよし、いずれにしてもよし、より深くジャズを味わうためのよい羅針盤になってくれる本である。
聞き慣れた名盤も他のジャズメンの思いを読んでから聞くとまた新たな発見がある。
それがまた楽しいのだ!!
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